スタンスミスの「World Championship 2017」コラム 第2回

12月14日(木)~17日(日)にシンガポールのKallang Theatre (カランシアター)で開催される、『Vainglory』の世界大会に向けたスタンスミス(岸 大河)氏のコラム第2回を掲載。日本からは「DetonatioN Gaming」が参戦し、5v5モードのエキシビジョンなど見所満載である本大会の解説をチェックしよう!

2017/11/17 12:00

「World Championship 2017」コラム 第2回

9月27日。「World Championship 2017」に関する公式アナウンスが行われた。

2017年の参加チームは全12チームImpunity(シンガポール)、Elite8(インドネシア)、Rox Armada(韓国)、ACE Gaming(韓国)、Hunters(中国)、Cloud9(北アメリカ)、DetonatioN Gaming(日本/ワイルドカード)。

そして残り5つの出場権が、中国、北アメリカ、ヨーロッパ、南アメリカ、および今後アナウンスされるワイルドカードからこのオータムシーズンで選抜される。
(後記:11月13日に中国1チームを除くチームが確定し、北米のTribe Gaming、欧州のG2esports、南アメリカRed Canidsが出場することが発表された。)

Vaingloryへと参戦した「DetonatioN Gaming」

日本で唯一の切符を手にしたDetonatioN Gamingは、RAGE Vol.1,2連覇を果たした「Team GL」のエースであったtatuki217を筆頭に再編成された「ViVianne」というアマチュアチームがルーツである。
最盛期の「ViVianne」は、強豪韓国「Phoenix Armada」に一歩遅れをとっていたものの、その他の東アジア地域のチームには不敗と、国内屈指のチームだった。

ここで「ViVianne」の戦歴について触れておこう。昨年の「World Championship 2016」の切符は、本来王者「Team GL」が手にするはずであった。だが、チーム解散を理由に準優勝の「ILLMATIC」に権利が移動。しかしその「ILLMATIC」もチーム事情により棄権。最終的に当時国内最強であった「ViVianne」に白羽の矢が立ち、「World Championship 2016」に臨むこととなったのだ。

「World Championship 2016」が始まる直前の2016年12月、「ViVIanne」はDetonatioN Gaming『Vainglory』部門に加入。大会では予選を突破したものの、ベスト8で敗退という厳しい結果だった。無論、勝負に“もしも”はないのだが、周囲の環境や大会へのアプローチの変化が影響した可能性も捨てきれない

ワイルドカード枠としての日本参戦

さて、「World Champion Ship 2017」に話を戻そう。東アジア地域の枠は2つ。Vainglory8のシーズン王者を決定する「Vainglory EAST ASIA SPRING CAMPIONSHIP」「Vainglory EAST ASIA 2017 SUMMER CHAMPIONSHIP」の優勝チームだ。

これはVainglory8各週の順位によってポイントが割り当てられ、シーズン毎に上位チームがシーズン王者を決定する大会に招待される仕組みをとっている。
双方の大会に出場していた「DetonatioN Gaming」だったが、奮闘空しく2枚の切符はいずれも韓国チームの「ROX Armada」「ACE Gaming」へと渡ってしまう
だが、ここで状況が変わる。先日の発表で「DetonatioN Gaming」はワイルドカード枠に選出「World Championship 2017」への出場が可能となったのだ。

そもそもこのワイルドカード枠はどのような性質のものか。各ゲームタイトルや大会によって異なるが、特別参加枠であり一種の救済処置といってもいい。運に恵まれず予選を勝ち抜けなかった人気チームや実績あるチームに付与されることが多い。ワイルドカード枠を賭けた予選を行うゲームタイトルも存在する。

「DetonatioN Gaming」がワイルドカード枠に選ばれたことは、日本のファンにとって喜ばしいことだろう。私自身も素直に嬉しいと感じている。選出の理由としては、日本が数少ないローンチイベントを実施した国であること。東アジア地域のレベルの高さ、彼らが昨年度も出場したプロチームであるといった点だろうか
確かにチームの総合力で言えば目を見張るものがあり、Vainglory8のweekで優勝した実績も裏付けとしては確かだ。
配信による講座等でコミュニティに貢献している点も好印象なのだが、惜しむらくは2年ともに世界大会出場の権利が自らの勝利によってもたらされたものではないということだろう。

あえて厳しい見方をすれば、筆者は今回のワイルドカード枠を、限られた東アジアの2枠に入れなかったがゆえの救済措置と認識している。日本のコミュニティはその現実を真摯に受け止めるべきかもしれない。そうしない限りは、今後東アジアにおいて実力で枠を勝ち取れるチームが輩出されることはないだろう。

プロとして戦うことの意味

日本代表各選手の技術は世界でも屈指のレベルであることは間違いない。昨年世界大会直前に目を付けた「DetonatioN Gaming」の嗅覚も凄まじいものがある。しかし、加入後の大会に向けたアプローチは適切と言えただろうか?また、プロチームとしての立ち居振る舞いはその肩書きに見合ったものだろうか。

確かにプロチームに加入していることで説得力は増す。それゆえ、たとえ環境や待遇の面でアマチュア時代とあまり変化が無かったとしても、互いの同意の元、プロチームに加入している以上は然るべく振舞うべきなのだ。寧ろプロとして落ち度があれば、ファンからの罵声をエネルギーにしなければいけない。叩かれるのが嫌というのは論外だ。

無論応援する側にも問題はあるかもしれないが、結局は日頃の行動や戦績がその結果に結びついているので、改善の余地がある前向きな意見を投げてくれていると真摯に受け止めるべきだろう。数は違えども、有名・人気に付随してくる要素ではあるので、成長する機会を与えてくれていることは幸せなことだと思いたい。

人間的な成長もこの業界で戦っていく上では必要な要素であり、そこに目を背けることはあまりに刹那主義的だ。セルフマネジメントをどこまでできるかで、自身のキャリア形成に繋がってくる。厳しい環境下であれども選手には頑張ってもらいたい。

各地域から勝ち抜いてきたチームは自身の実力によって切符を手にし、その上でさらなる鍛錬を積んでいる。なぜ勝てなかったのか。ゲームの知識や技術だけではない。マネージャーを含めたチームの責任でもあるわけだが、他のチームより濃密な練習を積まなければ予想通りのワイルドカード枠だったという感想で世界大会を終えてしまう。

プロチームに所属している以上、アマチュア以上に結果を求められる立場でもある。海外勢も同様だ。負けたらプロとしての活動に支障をきたす可能性があるが故に、死にもの狂いで試合に臨む。だからこそ一般的な練習ではなく、独自性を持った練習も重要になるのではないだろうか。
▲初の公式世界大会王者である韓国の「ROX ARMADA」は、同じEAサーバーで切磋琢磨するライバルでもある。

私含め、日本のコミュニティは「DetonatioN Gaming」が優勝する姿を観たいはずだ。今回あえて厳し目なコメントを書いた筆者や、毎試合コメントで批判をぶつけてくる熱量の高いファンに反論の余地も与えないほどの結果を残して欲しい。

残すところ1ヵ月。取り巻く環境が変化した1年目ではあったが、2年目の今年は言い訳できない。ワイルドカード枠を漫然と受け入れるのではなく、悔しさを常に心の中に留めて勝負に臨んで欲しいと切に願うものである。

StanSmith / 岸大河 プロフィール

1989/6/21 ゲームキャスター/LogicoolGブランドアンバサダー
国内のesports大会やゲームイベントの実況・MCを中心に活躍している。世界大会の日本語実況などの経験も豊富。もともとはFPS・MOBA・スポーツのジャンルで国内外の大会に出場していたトッププレイヤーでもある。

ただのアナウンサーや実況者ではなく、選手としての大会経験とゲームへの深い理解を持つことを一番の武器としている。ゲーム初心者から上級者まであらゆる視聴者が楽しめるように言葉巧みに、必要なときには噛み砕いてゲームや試合の魅力を伝える能力が高く評価されている。

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